アドルフの画集


アドルフの画集 をみました
本文には結末まで書いています。

ジョン・キューザック主演なのでレンタルしました。
何の予備知識もないまま、見始めました。
廃工場か倉庫のような大きなさびれた建物の中に、大きな絵が何枚も飾られています。
ジョン・キューザック演じるマックスが絵を見上げ、厳しい顔でたばこを吸っています。
事務員のような女性が現れて、マックスに上着を羽織らせます。
ここで、マックスの右腕がないのに気づく。
次は、華やかな個展のシーン。会場はさきほどの倉庫ですが、着飾った人々であふれ、シャンパンが用意されています。そこは倉庫画廊と呼ばれ、マックス・ロスマンはやり手の画商なのでした。
マックスの父親が現れ、にこやかにシャンパンの追加を持ってきたといいます。
最後の一箱を取りに、マックスは倉庫の外に出ます。
左腕しかないのにどうやって?
そこには、スケッチブックを抱えた貧しそうな青年が立っていました。
青年はシャンパンを運び入れるのを手伝います。
マックスと青年が会話を始めます。絵を描いているのかとか、画廊に持って来たら見ようとか。
マックスが青年に名前を尋ねます。青年は答えます。
「アドルフ・ヒトラー」
がーん。
私は思わず一緒に観ていた夫に「あのヒトラーなの?」と尋ねてしまいました。
そうです、これは、画家志望だったアドルフ・ヒトラーを描いた映画だったのです。
マックスは、復員した裕福なユダヤ人。
ヒトラーは、復員した貧しいドイツ人。
映画は、しっとりと優雅でかつせつないタッチで進んでゆきます。
マックスは、なんとかヒトラーを画家として売り出すために力になろうとします。
ヒトラーも芸術への情熱を持ちつつ、マックスの期待に応えようとします。
ところが、軍の上層部がヒトラーに「演説をしないか」と話を持ちかけます。
気乗りはしなかったヒトラーですが、「生活を保障する」という条件に惹かれて引き受けてしまいます。
ユダヤ人を糾弾する演説をこなしながら、家に帰ればマックスのために絵筆を握るヒトラー。
ある日、ヒトラーの家を訪ねたマックスは、ヒトラーが描いたスケッチをみて「これだ!」と叫びます。それは、未来都市や大きな道路、軍隊の制服などを描いたものでした。大きな道路はアウトバーンの原型でしょうか?軍隊の制服はもちろんのちのナチス軍のものです。皮肉なことにマックスは「これこそ未来を描いたものだ」と感動するのです。
「今夜9時半にメトロポールで逢おう!」マックスは期待に満ちた表情でヒトラーに語りかけます。
ヒトラーも、ようやく絵が認めてもらえて夜の約束を楽しみにするのでした。
その後軍の上層部の人がやってきて、またヒトラーに演説をするように言います。
ヒトラーは言います。「これが最後だ」
ところが、演説は大成功し、ユダヤ人を糾弾するシュプレヒコールが聴衆から起こります。
その足で、スケッチブックを抱えメトロポールに向かうヒトラー。
一方マックスはユダヤ教会で礼拝に出ていました。
礼拝が終わり、メトロポールに向かうマックス。小さなキッパをポケットにしまったところ、右翼のドイツ人たちに襲われます。殴られ、蹴られ、倒れるマックス。
一方ヒトラーは、期待に胸をふくらませ、そわそわとマックスを待ち続けます。
とうとうメトロポールの閉店の時間になりました。マックスは現れませんでした。
落胆と怒りをこめた表情でメトロポールを後にするヒトラー。
繁華街をずんずんと歩いて帰路につきます。
マックスは、血を流して雪道に倒れています。
ここでカメラがどんどん上に上がってゆきます。
ヒトラーが速足で歩く通りと、マックスが倒れている通りは隣り合わせでした。

おもしろかったです。
片腕はないものの、良い身なりをして性格も明るく人気者のマックスと、貧しく暗い性格のヒトラーがとても対照的でした。まあ、それを描きたかったのでしょうが。
キューザック、素敵。
ヒトラー役のノア・テイラーが、トゥーム・レイダーの機械オタクのブライスだとは気づきませんでした。あのひょうきんものが、こんなに変わるなんて、俳優さんってすごいな。




Posted: 水 - 12月 22, 2004 at 09:13 午前              

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