愛情日誌



■夏石鈴子

■マガジンハウス
■2004年7月初版発行
■1400円(税別)
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誰かを好きになって、この人と一緒に生きて行こうと決め、結婚して共に暮らし、子供を産んだ。
幸せだけど、自分は「妻」と「母」に、彼は「夫」と「父」になってしまった。
本書は、恋人同士が夫婦になり、家族になる過程で多くの人が感じる、巧く言葉にできない気持ちを描いた短編小説。
仕事と家事、子育てに追われる暮らしの中で、すっかりうるおいをなくしてしまった豊子に、
夫の明彦がある誘いをもちかける「おでかけ」とその後のふたりの日々を綴った「愛情日誌」
ほか、一編の短編が収録されています。
何気ない言動にさえ、ドキドキしていた「恋」の時間を過ぎたその先の長い長い日常に、
ちょっと疲れてしまったとき、ぜひ一読してみてください。
「愛しい」という言葉の意味を、再確認してくれることでしょう。
(La 3月号より 書評:藤田香織

どうしてもあらすじをまとめることができなかったので、この本を読もうと思った
きっかけとなった書評をまるまる引用させて頂きました。
ダメだなあ、私。すっかりおバカになった。(以前賢かったという訳ではないが)

藤田香織さんの書評が上手なのでしょう、ものすごく期待して読みました。
そしたら、期待していたのとちょっと違ってました。
あんまりおもしろくなかったんですよ。
やっぱり、私がこどもを産んでいないっていうのが、共感できなかった一番の要因だと思う。
豊子は、いったい自分は「母」をやれるのだろうかと心配していたが、いざ母親になったら
「全自動」のスイッチが入って、赤ん坊が一声泣くと目が覚めて、もっと寝ていたいと
思っても体がむっくり起きるようになった。
こんなことは、経験した人にしかわからない。
でも、それ以外の部分、明彦とのスタンスや体の衰えへの嘆き、などなど、そうだよなあ、
と共感することもありました。
心の機微は、とても丁寧に描かれていると思います。
3編収められていて、そのうち1編は別の話なのですが、これは何が言いたいのか
よくわかりませんでした。(やっぱり私、おバカ?)
感受性は鈍ってきてると思う。
昔は、涙腺もめちゃめちゃゆるかったし、この本にももっと惹きつけられて読んだと思う。
以前、夫の友達に「嫁さんにちょっと本でも読ませたいんだけど」と相談されたことが
あります。家で映画なんか観ていても、すごくいいところで「お風呂汲んでくる」と席を
立ってしまったりするので、もうちょっと感じる心を養ってもらいたいと言うのです。
で、私は、庄野英二さんの「星の牧場 」という本を貸しました。
でもね、今は、私も彼の奥さんと同じになっていると思う。
文化よりも生活なんですよ。そっちの方がプライオリティが高くなってしまった。
それって、主婦としては優秀かもしれないけれど、女として、人間として、
さみしいことだと思うのでした。




Posted: 火 - 3月 28, 2006 at 09:55 午後              

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