COOKING


私が初めてキッチンに立ったとき、それは小学校3年生の頃だったと思います。

その頃、私は両親と妹と弟の5人家族で2Kの小さな借家に住んでいました。
もちろん、キッチンも狭くて、並んで立つのはせいぜいふたりまでって感じでした。
初めてつくった料理がなんだったのか、覚えていません。
いつのまにか、毎日母を手伝っていました。
正直言って、あまり楽しいことではありませんでした。
上げ膳据膳してもらって甘やかされている、よその家の子どもが羨ましかったです。
なんで、私のお母さんはこんなに厳しいんだろう?
そう思いながら、料理をつくっていました。(もちろん洗い物は私の仕事でした)
豚肉の生姜焼き、トンカツ、野菜炒め、カレー、ぎょうざ、天ぷら、スパゲッティ・・・。
こうやって、一般的なおかずのつくり方を覚えていきました。
おかげで、塩や砂糖、酒、醤油をどれくらい入れたらいいのか、
たいていの料理はわかるようになりました。

今では母に感謝しています。

料理ができない人間に、手取り足取り教えるのはとてもめんどうです。
自分でやってしまった方が、はっきり言ってラクです。
でも、母は根気よく私を躾けてくれました。

高校のとき、茶道部の合宿で、カレーをつくることになりました。
下級生が買い出しに行ったのですが、買ってきたものを見て私は驚きました。
全部で10数人いるというのに、肉を200グラムくらいしか買ってこなかったのです。
しかも、その子は「これ、書いてきたんですよ」と言って1枚の紙切れを取り出しました。
それには、カレーのつくり方が書いてあったのです!
私は思わず「あなた、カレーのつくり方も知らないの?」と言ってしまいそうになりました。
高校生にもなって、カレーもつくれないなんて!
分量もわからないなんて!
恥ずかしい!

中学生の頃から、お菓子をつくるようになりました。
家はとても貧乏でしたが、母は、お菓子作りの道具や材料は、惜しまず買ってくれました。
感謝しています。
その頃買ってもらった錫のスポンジケーキ型は、今でも持っています。

今の私があるのは、すべて母のおかげなのです。



Posted: 金 - 8月 18, 2006 at 12:20 午後              

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