マナ島夢日記

3月16日(出発日)

 無性に良いジーンズが欲しくなって、近所のジーンズ屋に買いに行くことを思いつく。
 ついでに、市内のダイビングショップに電話し、機材を見てもらえないかと思いつく。
 そう、果たして、機材は私の手にはおえなかったのである。
電話してみたところ、見てくれるという。喜ぶ。
 ジーンズショッブでスリムジーンズにするか、ダブダブのバギーパンツにするか悩む。結局サムシングのダブダブを買う。スマートな人が着たらダブダブになるのだろうが、私が着るとぴったしである。悔しいがいたしかたない。
 ダイブショップに向かう。
 誠実そうなおじさんが、ていねいに、ゆっくりと色々試してくれた。
 が、直らなかった。諦める。哀しい。でも、けっこうかさばる荷物がひとつ減ることを思えばなんのこと。帰宅。
 「ああ、持ってくれば良かった、悔しい!」と嘆くものはないか、必死で考える。だけど、こういうものはこういう時には思いつかないものと決まっている。そうこうしているうちに、夫が帰ってくる。
 そわそわ、うろうろしているうちに家を出る時間になった。「じゃ、そろそろ出ようか」と愛車にスーツケースを積み、成田空港に向かって出発。
 車は、旅行に行っている間預かってくれて、しかも洗車してくれるという業者に託す。が、その業者の看板をしっかり見つけてくれという夫の言葉に頷きはしたものの、「あったー!」と叫んだ時には、すでに通り過ぎていた。
 「なあんだ、もう!」とこぼす夫に怒リがわく。
 「そんなこと言つたって、まりこだって初めてなのに!!!」
 夫、慌ててなだめる。が、私はむくれてしまった。夫、おろおろする。
 成田空港の集合場所で手続きを済ますと、けっこう時間が余った。
 なんと!「潜ルンです」の新しいタイプのが売ってるではありませんか!
 それを買ってもらって機嫌が直る。
 スーパー800の全てに使えるとパッケージに書いてある。
 むむむ、持ってきた、「写ルンです」はスーパー800だったっけ?
 カメラ屋さんのとこに立ててある、「写ルンですは多目にお持ちになった方が旅先で困リません」の看板に心ひかれ、悩むが結局買い足さなかった。
 スーツケースの中の古い「潜ルンです」は、むこうに着いてから捨ててしまおう。イヒヒ。
 夫は本などを買い込んでいた。
 私は大ファンの吉本ばななのハードカバーの「アムリタ」を上下で持ってきていて、しかもそれらは機内持込みかばんに入れているので重い。
 しかし、備えあれば憂いなし。
 国際線の機内などの非日常的な状態で読む彼女の小説は、心にしみいることであろう。そして、「アムリタ」を読み返す度にこの旅行のことを思い出すだろう。この思いつきに期待で胸が踊ったものだ。
 やがて搭乗時間になり、ニュージーランド航空のボーイングに乗り込む。
 座席が窓際で喜ぶ。
 離陸後のウェルカムドリンクの白ワインでさらに喜ぶ。
 機内食では狂喜してしまう田舎ものの私であった。
 ニュージーランド航空はサービスがすばらしい。
 うきうきしてワインをもらう。
 食後のお茶にも日本茶が含まれているにくい心配り。食事も済み、音楽を聴いたり、「アムリタ」を読んだりしているうち寝入ってしまう。

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