マナ島夢日記

3月18日

 わざわざ持ってきた、ラジカセのタイマーによるテープで目を覚ます。
 夕べは「ラ王」で、粗末な夕食だったので朝食はレストランに行くことにする。
 カメラを持ち込み写真を撮る。まるでおのぼりさんである。
 ブレに戻り、支度をし、サブマリンツアーの集合場所に急ぐ。夫の表現によると、
「サルベージ船の下側がガラス張りになっているような、いわばセミ・サブマリン」とのこと。完全な潜水艦ではなかった。出発する。が、なかなか下部分に入れてもらえない。見るべき所に着くまでは上で海を見てろということだろう。
 デッキで碧い海をながめていると、下部分に降りるようにお呼びがかかった。
 うわー、なんてキレイ。そしてなんて碧い。ガラス越しに写真を撮りまくる。直径30センチはありそうな紫色のくらげがすーっと通過して行く。おもしろい。
 比較的浅いところでは海中に陽光が差し込み珊瑚が輝いている。美しさを堪能していると、タンクをしょったダイバーが目の前に現われ、窓の汚れを拭き取り始めた。できるなら、写真を取る前にやっといて欲しかった。(が、そんな心配は無用であった。プリントした写真は窓の汚れも寄せつけないほど美しかった)やがて、デッキに上がるようにお声がかかる。いつの間にかUターンしていたようである。
 水着にパレオを巻いた可憐な娘さんに、パレオの着付けを教わる。ふっふっふ。実は、何を隠そう(別に隠してる訳ではないが)、私は、妹からのニューカレドニアみやげのパレオを持ってきているのだ。後で実践してみることにする。(しかし、パレオを着用した私の写真を見たところ、彼女たちが浜辺の妖精のようだったのに対し、私はまるで「関取」のようだったのでショックを受けることになる。)
 午後は、ダイビングをやることにする。
 せっかく買った「潜ルンです」が使えないので、物価の高いというこのマナ島で、もともと水中撮影用のレンズ付きフィルムを買う。くそー。
 私は、認定証(Cカードという。ライセンスじゃないんだよ。ダイビングにライセンスはないの)を持っているが夫は持っていない。持っていないと「ファンダイブ」はできず、「体験ダイビング」しかできないのだ。「体験ダイビング」は「ファンダイブ」よりもずっと料金が高い。出発前からこのことは悔しがっていたのだ。「ファンダイブ」ができるのに夫につきあって「体験ダイビング」で高いお金を払わなくちやならない。
 だけど、せっかく来たんだから高いお金を払ってでもダイビングをやろうということにしたのだ。
 何の気なしにCカードを荷物に入れる。中し込んでヨロコビが訪れる。念のため「私はCカードを持っています。」と言ったら私の分はファンダイブの料金にしてくれたのである。ああ、備えあれば憂いなし。
 体験ダイビングのインストラクターさんは日本人の女の子であった。
 日に灼けて茶色くなった肌と髪がめちゃくちゃかっこいい。おまけにスタイルも良くイカス水着を着ている。ああ、こんな人になりたい!!!
 私は説明を聞かなくてももよいと言われた。だが、数年振りのダイビング、一緒に説明をしっかり聞く。
 さて、いよいよ潜る。初心者の皆さんよりもヘタクソなのは気のせいだろうか。なかなか沈まない。思えば、ウェイト(おもり)が足りなかったのだ。この時の私の体重は、自分で思っている数字をはるかに上回っていたのである。
 熟練者ぶってみんなについて行く。
 きれいな魚がたくさんいて楽しい。
 チョウチョウウオや、名前の知らないアジに似た魚が多かった。サブマリンツアーも楽しかったが、やはり自分が魚になった方が数段楽しい。かちかちと写真を撮る。インストラクターさんが餌付け用のパンをくれる。魚が寄ってきて楽しい。(パンを持った指が写真に写っていて、後でウケる。)浮上する。
 片付けをしながら、私一人だけでもファンダイブをやった方が良いかどうか相談する。
 せっかく南太平洋まで来て、機材も(ひとつを除いて)わざわざ持ってきているんだからやった方が良い、という結論に達する。翌目の午前中の分を中し込む。うきうきする。
 その後は、目が暮れるまでスノーケリングをした。
 ああ、私はいったい南の島が大好きだ!!
 日が暮れたので夕食をとることにする。
 今夜はレストランに行ってみよーっ!と、出かけた。が、まだ始まっていなかった。
 見事な肩すかし。そこで、となりのバーで一杯ひっかけることにする。
 生バンドが演奏をしていて、バーはすいていた。私が頼んだカクテルはヒットだったが、夫の頼んだのはいまひとつだった。メニューにレシピが書いてあるというのに。逆に言えば、レシピを見てうまい・まずいを見分けられる私は相当ののんべえだということか。
 生バンドには誰も拍手を送らない。私が張り切って拍手をしたらリードギタリスト兼ボーカリストがてれていた。
 やっとレストランが開いたので、どかどかとのり込む。ステーキとワインを頼む。おいしい。また、恥ずかし気もなく写真を撮る。
 給仕してくれる女性に話しかける。名前、歳などを聞く。名前はルーシー、歳は23歳だそうだ。私がでたらめ英語で、あなたはとても若くて美しい。と言ったら、大層喜んでくれて、明目ココナツジュースをブレまで持ってきてくれるという。我々、ルーシー以上に喜ぶ。私は午前中にダイビングがあるので、午後が都合が良い。結局、1時に来てもらうことにする。
 ブレに戻る。
 備え付けのインスタントコーヒーを飲みながら南半球の星空を観察しようではないかと提案する。夫、賛成する。南十字星を見つける。
 私は、ほろ酔い加減で超いい気分だったので、レストランから帰るとおぼしき娘さん二人に「星を見てるんですよ。南十字星はもう見ましたか?」などと話しかけてしまう。娘さん二人は、愛想良く寄って来てくれて、酔っ払いの私につきあってくれた。
 二人に南十宇星を教える。(間違ってたらどうしよう)
 以前、タヒチに行った時、スペイン人らしき女性にオオカミ座などを教えてもらったのだが、どれだか忘れてしまった。季節も違うから出ていないかもしれない。(季節が違えば出てませんね、おばかですね)
 娘さん達に別れを告げる。ブレに入り、くつろいでいると先刻の娘さんがやって来た。「どうしたんですか?」と尋ねると、トイレの電気がつかないのだと言う。「こちらはちゃんとつきますか?」私は俄然張り切って、「ええ、ちゃんとつきますよ。待ってて、私が連絡してあげましょう」と、きっぱり言い、我々のブレの電話の受話器を取り上げ、「ジスイズルームナンバー○○、レストルームズライト ダズナットワーク。プリーズカモン!」とたどたどしく、しかしほこらしげに言った。娘さん達は、ほうっと溜息をっいた。(と、思う。)
 再度、娘さん達に別れを告げる。そして寝た。

前日へ 翌日へ