3月19日
先日同様、ラジカセのタイマーによるテープで起床する。
海外旅行の際、小さなラジカセを持って行くと、その場にふさわしい音楽や、自分の大好きな音楽が聴けて楽しいし、タイマーが付いていると目覚ましがわりになって重宝しますよ。
今回は、小野リサが大活躍。
夫ごひいきのビートルズはいまいちあわなかった。
昨日もそうだったが、モーニングコール(一応頼んでおいたのだ)が、15分から20分も遅れてかかってきた。私たちは重宝ラジカセにより起きているから良いが、ほんとにあてにしている人々は困っているであろう。が、こののんびりさに二人して笑いこける。
「シーフードヌードル」を朝食とする。朝早いオプショナルツアーなどに参加するときなんか、このカップラーメンは重宝しますよ。レストランに行くより時間がかからなくて。(こればっか。しかし、失敗は他にあった。まず、ビーチサンダルを忘れた。そして、スリッパを忘れた。外国のホテルにはスリッパは備え付けられていない。3度目の海外旅行にして、スリッパを忘れたのは初めてである。)
私は、一人で勇敢にボートダイブ(ファンダイブ)に参加し、夫は、すっかり病みつきになったスノーケリングをして、おとなしく私を待つ。
集合場所に向かう。今回のインストラクターさんは地元の人であった。私は昨日、ログブックにインストラクターのサインをもらうのを忘れてしまったので、あのかっこいいインストラクター「ハルミさん」に会いたくて、スタッフの人に聞いたら、ビチレブ島へ行っているという。がっかりする。インストラクターのサインのないぺ−ジがまた増えてしまっていた。おっちょこちょいと言われても返す言葉がない。
ボートに乗って沖へと進む。
となりに乗った女の子二人連れの会話に割り込む。そう、わたしは人見知りとは無縁なのである。ウェットスーツの話題を持ち出す。その子達がやけにするするとウェットスーツを着用したからである。聞くと、両面ジャージなのだという。私のは片面スキン(ゴム)だから肌に密着してしまって滑らず、着るのにえらく難儀するのだ。考えてみれば、とっても暑いときにしか潜るつもりはないのだから、保温のための片面スキンは私には無用の長物だったのだ。うう、新しいのが欲しい。
ポイントに着く。
ジャイアントストライドでエントリー。足を船の外に踏み出すようにして飛び込むアレである。
海底へ、海底へと沈む。その幻想的な模様に感激する。
さすが、昨日の体験ダイビングとは雲泥の差。深さが違うからである。その、魅惑的なことここに極まれり。
水中カメラのフィルム残数はたったの3枚である。昨日の体験ダイビングで、調子にのって使いまくってしまったためだ。インストラクターさんを撮り、それからここぞと思うスポツトを撮った。(できあがりは最高であった。)それはそれは、たくさんの魚がいた。としか、言いようがない。また、珊瑚、海草の美しさ・・・そして、不思議な浮遊感。宙返りなどしてみる。空を翔んでいるようでも、ある。パラダイスなのだ。やがてアセント(浮上)。あー、楽しかった!
船から降りると、夫が歩み寄ってきた。
戻ってくるのを見て、やって来たそうである。ふふふ。可愛いヤツめ。ブレに戻る。
1時。ルーシーはやって来ない。あれえ。どうしたのかなあ。
ブレのまえにデッキチェアを引っ張り出して、私は目光浴を始めた。せめてハルミさんぐらいの小麦色になりたい。
1時半。ルーシーは来ない。なんだなんだ。どーしたんだ。忘れちゃったのかなあ。スノーケリングに行っちやおうかなあ。
2時。「ハーイ。」なんて言って椰子の実をぶらさげてルーシーがやって来た。良かった良かった。遊びに行かなくて。
十歳くらいの従妹のナンシーを連れていた。ココナツジュースというから、缶ジュースを連想していたわたしはまぬけかしら。椰子の実からのジュースなら、タヒチで飲んだことがある。おいしいね、冷たければ。と、思った覚えがある。だけど、商国に実っている椰子の実が冷たい訳がない。だけど、せっかくルーシーが持ってきてくれたのだ。「うめえ。うめえ。」と喜ぶことを決心する。ルーシーがナタのような刃物で実の上部を削ぎ落として、ジュースを飲める状態にしてくれた。やはり、あのぬるい昧だ。しかし、喜んで見せねば。「オー!デリーシャス!」と叫ぶ。ルーシーにこにこする。良かった良かった。内側のゼリー状のところも食べられる、と説明される。スプーンを持ってきてむさぼり食う。このゼリーは、ぬるくてもおいしかった。
ソニア・リキエルの透かし模様の入ったハンカチを「おニューでなくて悪いんだけど。でも、きれいでしょ。」といってルーシーにあげた。結構、喜んでくれて嬉しい。
ルーシー、ナンシー去る。
記念撮影を忘れたことに気付く。追いかける。すれ違った地元スタッフの人に「どうしたのか?」ときかれ、走りながら「ルーシーをおっかけてる。」と答えたら、その人は大声で「ヘイ、ルーシー!!」と叫んでくれた。
ルーシー、ナンシー、私、夫とで並び、その人にシャッターを押してもらった。
礼を言う。ヘイ、フィジアン、ベリベリフレンドリーね!
飽きもせず、スノーケリングに行く。
きれいな場所を囲ってスノーケリングエリアとされているのだが、我々は、一体何時間、この同じ場所を漂っているのだろうか。
たまには島の反対側のビーチに行ってみようか、ということになり、行ってみる。行ってみてがっかりする。行けども行けども海草(それもきれいな色のっいたのじゃなく、モスグリーンのぢみなやつ。)ばっかりで、たま〜に、ハゼのようなぢみな魚がちらほらしているだけ。
なんじゃこりゃ。と言って、慣れ親しんだスノーケリングエリアに戻る。やっぱり、ここが一番。
夫はときどき、お気に入りの岩にしゃがんで休む。その岩とは私が発見したもので、水面まで50センチぐらいという高さで海底から立っていて、うまくフィン(足ヒレ)を乗せると、水面からちょうど首が出るくらいになって、しゃがんで休むことができるのだ。夫に教えたら最初は「珊瑚じゃないの。壊したらまずいよ。」と言ったが「良く見て。岩だよ。」と教えたら、すっかり気に入ってしまったのだ。
私は時折、ジャックナイフという方法で海底まで潜ってみる。体をふたつ折りにし、おしりがぽこんと浮きでて潜って行く方法である。なぜかバレッタが沈んでいた。きっと、ロングヘアの女の子が髪を留めていて、落としてしまったのだろう。きれいな貝殻、珊瑚のかけらを拾う。
熱中しているうちに、日が暮れた。
さて、ルーシーのいるレストランヘ行こう。今目は、ブッフェスタイルのようである。嬉しい。ルーシーが我々を見つけ、案内してくれた。
テーブルにつき、とりあえずワインを頼む。年配のウェイターがはこんできてくれて、グラスに注いだ。が、勢いがつきすぎ「どばっ。」と大量にこぼれてしまう。
「オー、ソーリー」と何事もなかったかのようにすまして行ってしまった。
我々、そのあっけらかんさに笑いこける。彼を「ソーリーおじさん」と、勝手に名付ける。(ソーリーおじさんは、我々に勝手に写真を撮られ、キャプション付きでアルバムに貼られているとは、夢にも思うまい。)
食べまくる。トリ肉がおいしい。ブロイラーではないのだろうか。グルメでない私達には見分けるすべもないが、とにかくおいしい。
ソーリーおじさんの他に給仕してくれる若い男性のうち、一人の声がやたらとセクシーで聞き惚れる。褒めてあげたら、とても喜ぴ、一緒に写真を撮った。この人、セルという名前なのだが、声とはうらはらにとってもひょうきんなヤツなのであった。ルーシーも「彼は、とってもファニーである。」と言っていたから、間違いない。この後夫は、ミスター・セルを一人で撮影するように、本人に所望された。お、おかしいヤツ。これらの写真は、ルーシーやミスター・セルに住所を教えてもらい、航空便で送ってあげた。
食事がすんだら、フィジアンショーが始まった。なかなか、活気に満ちたショーでおもしろい。最初は、合唱隊の元気な合唱ではじまり、やがて、漁を表現したような男衆の勇ましい舞になった。さすが海洋民族。
その後、「遠い海から来たCOO」でおなじみの、カヴァの儀式が始まった。私、ダッシュで儀式を行う屋根の下に駆け付ける。夫、「行くって言うと思った…。」とつぶやく。そもそも、マナ島に来ようと思ったのは「遠い海から来たCOO」を読んだことが発端であるから、その中で紹介されているカヴァの儀式は、絶対やってみたいと思っていたのだ。満足する。
先程フィジアンショーが行われていたフロアは、ダンスフロアと化していた。ルーシーが、自分の仕事が終わるまで待つててくれ、と言っていたので待つ。やがて、ルーシーがやってきて、明日は何時に出発するのかと聞かれる。そう、今夜は、マナ島最後の夜なのだ。ルーシーが「明日、桟橋まで見送りに行く。」と言った。しんみりする。少しおしゃべりし、たがいにおやすみを言って別れる。
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