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被災ダイアリーズ vol.1

今日は、3月28日。

先月離婚した夫と一緒に暮らし始めた日で、完全放置状態の(blogに押しやられて)ウェブサイトを立ち上げた日。

すっかり部屋を片づけて、落ち着いてから、3月11日以降のことを書こうと思っていたけれど、そういう思い入れのある日だし、新年度の見切り発車をしたことだし、とにかく、手をつけなければ、足を踏み出さなければ、と思い、書き始めることにしました。ただし、10時まで。スマスマ観るんでw。

3月11日(金)

この日、私はだーい好きな高田純次さんがゲストの「徹子の部屋」を観たあとに、東京在住の妹とスカイプをする予定だった。カレンダーにもそう書いてある。

お昼ごはんは、私がカレーピラフをつくり、両親と食べた。笑っていいとも!は観たかどうか、覚えていない。父が録画した韓流ドラマを観たのかもしれない。
私は「徹子の部屋を観ていい?お父さん」と、テレビの時間を譲ってもらい、3人で純ちゃんのばかばかしい話にひーひー笑った。
徹子の部屋が終わり、私は食器を洗い、母は自転車でスーパーに買い物に出かけた。
洗い物のとちゅうでぐらぐらと地震が来た。
私は、地震は怖くない。
怖がったところで、どうしようもないから。
だから、揺れながら洗い物を続けた。
そしたら、食器戸棚の扉がばーん!と開いて、がちゃがちゃとグラス類が落ちて割れ始めた。
私は(もったいない!)と思い(←バカ)、水道を止めて食器戸棚の扉を閉め、押さえた。かなりしばらくの時間(←繰り返しますが、バカ)。
しかし、揺れは激しくなる一方で私はやっと(あ?これってもしかして、食器戸棚が倒れて下敷きになるパターン?)と、シャレにならない事態だと気づき、その場を離れ、2階に上がり、自分の部屋のドアを開けた。

たまげた。

ちゃんとL字金具で壁にねじ留めしておいた本棚が倒れ、私の部屋はカオスになっていた。

猫は!?
犬は!?

ここらへんの記憶はおぼろげ。

かんちゃんは、階段を降りて家の外に出てしまったと思う。

ミラとルミは発見できた。
しかし、ララちゃんがいない。
まさか、この本棚の下敷き!?

猫は敏捷だから、その可能性はかなり低いと思ったのですが、私はある話を思い出していたのです。

それは、椎名林檎さんの飼い猫の話でした。
ちょっとおっとりした猫で、何かのはずみで大きな姿見が倒れ、下敷きになって死んでしまったそうなのです。
それは、すごく壮絶な光景だったそうです。
鏡の破片と、血と、猫の死体。

私は、ララちゃん!ララちゃん!と叫びながら、本やCDやDVDやがらくたを掘りました。死体が出てこないことを祈りながら。

どれくらい探していたかわかりませんが、私は、少し落ち着いて、もしかして、下敷きになっていないのでは?と、かなり可能性の高い思考を頭に浮かべることができました。
がらくたの下からロフトベッドの梯子を引っ張り出し、苦労してベッドにかけ(安定させないでのぼると落ちてケガをする可能性大、と予想できるまで冷静になれた)、ふとんをめくると三毛猫の背中が見えました。

「ララちゃん!」

かなりおびえていて、布団に爪をたててしがみつきましたが、私はそれを引っぺがして抱きしめ、号泣しました。

今回の地震で泣いたのは、今のところこのときだけです。

ベッドでララちゃんを抱いて放心していたら、また大きな揺れがきました。

かんちゃんはそんなに心配ないけど、猫を見失ったらお終いだ。
そう思って、私はまず、猫をケージに入れることにしました。
押し入れ(というか物入れ)を開けてびっくり。
衣装ケースの上に置いていた、猫草用のプランターが落ちて、猫のケージが泥だらけになっていました。
その小さなプランターは、衣装ケースのかなり安定した位置に置いてあったのです。それが落ちるほどの揺れ幅だったと思うと、すごい。としか思えませんでした。
猫は3匹ですが、手は2本なのでケージはふたつしか用意していませんでした。
幸いララちゃんはまだ1歳未満の仔猫で、ルミはかなり小柄な猫。この2匹を大き目のケージに入れ、1匹用のケージにミラを入れて私はこの家に戻ってきたのです。
しかし、痛恨のミス。
怯えたララちゃんは、火事場の馬鹿力で私の握力を超える力を発揮し、私の手から離れてどこかへすっ飛んで行ってしまいました。家の中なのか、地震で開いてしまった窓から外に出たのか、わからない。
もう、私、泣きそう。
探し続けるのは時間をいたずらに浪費するだけだと結論を出し、ルミとミラだけをケージに入れて、大きな揺れがすっかり収まったころ、おのおの後片づけを始めました。
あまりのショックで、私はぶっちゃけしばらくぼーっとしていたかったのですが、母がてきぱきと働いているので、できる限り手伝いました。
そしたら、母がひそひそと言いました。

「お父さん。ちょっとヘンになってる。屋根瓦のかけらなんか拾ってるのよ。それよりも他にやることがあるでしょ、って言ったら『人を傷つけるな!』って怒鳴ったの」

たしかに、落ちた屋根瓦なんて、1番後回しでかまいません。
生活空間をまともに戻すことが最優先です。

電気も水道も止まっています。ウチはプロパンガスなので、ガスは使えますが、災害アナウンスで「ガス管が破損しているおそれがありますので、ガスの使用はお控えください」と報じていたので、使えませんでした。

どんどん暗くなっていきます。

間の悪いことに、その日私は、キャンプ仲間のYasu@Ducksさんちで醸造しているおいし〜いお醤油の王冠を栓抜きで開けて醤油挿しに移したのですが、残りが入っている一升瓶に密閉できる蓋をしていませんでした。開けた王冠を軽くポンと押して閉めただけでした。
それはもちろん地震で倒れ、キッチンはお醤油の匂いが充満していました。
母は、ボロ布を駆使しておしょうゆを拭いていました。
「ごめんね。ちゃんと閉めなかったから」と謝りながら、私も拭きました。
ガラスの破片とお醤油が入り混じって、危なくて大変な作業でした。

やがて日が暮れたので、私は、庭で本当〜にどうでもいい作業をしている父を呼びに行きました。

「お父さん、暗くなったし寒いから家に入ろう」

すると父は、

「そうだな。そろそろお風呂に入ろうかな」

と言ったのです。

惚けたか。
私は平成を装い、かるーい感じで

「お父さーん。何言ってんの。ガスも水道も止まってるよ。お風呂は無理」

と言って、父の肩を抱き、家に入りました。

「ええ、あのときの地震のショックで惚けたんです」って、説明することになるのか、と思いながら。

そうそう、かんちゃんは、テラスの柱につながれていました。
逃げられないように、つなぐのに使われた荷造り紐を慎重に切り(ぐるぐる暴れたのでボロボロになってほどける状態ではなかった)、父を家に入れてからかんちゃんを連れて家に入ったような記憶があります。

<切りがいいし、21:59になったので続く>