1999.10月

10月31日(日) 晩秋の休日

 エクスカリバーズの試合を観に行く。今日の対戦相手は神奈川大学アトムズ。
 場所は一橋大学小平分校。11:00キックオフだからハーフタイムのときに食べようと、おにぎりをつくった。
 国分寺駅でO木くんと待ちあわせ。今日も遅刻....。ひたすらあやまると「慣れないところに来るってわかってるから大丈夫」と快く許してくれた。ほっとする。
 ちょっと遅れて到着すると、すでに8点入っていた。なぜに8点?自殺点か?
 O木くんにルールを説明しながら観戦。ほんとは人に教えられるほど詳しくはないんだけど。
 筑波がタッチダウンを決め、点差を縮める。
 ハーフタイムになったので、構外に出てお茶を買う。戻って芝生の上に座り、おにぎりを食べた。梅干しがものすっごく酸っぱいので、O木くんが食べられるかどうか心配した。「おいしいですよ」と言ってくれたので安心する。
 後半、ぐんぐんエクスカリバーズに流れが変わり、逆転する。
 17-14で筑波大学エクスカリバーズの勝利。
 新宿に移動し、ヨドバシカメラで新しいマックを見た。
 そこで偶然に共通の知人にばったり逢った。すごい偶然だと思ったけど、パソコンやで逢ったと考えればそうでもないかも。
 キリンシティでビールを飲んでおしゃべり。
 椎名林檎の新譜を買いに紀伊國屋に行った。つくばの石丸電気で売り切れだったのだ。紀伊國屋でも「幸福論」は売り切れ。なんでも、メーカーにも在庫がないらしい。再発だからかなあ。実は私は「幸福論」は旧バージョンで持っているのだ。仕方がないので「本能」だけ買う。
 ヴァージンメガストアに行ってみる。案の定売り切れ。ここになければ、もうどこにもないだろう。
 二子玉川の「
ぱぱげぇの」に行く。私が入っているMLのメンバーの方のご主人がやってるお店なのだが、ここに行くオフ会のときに限って私は不参加で「おいしかった!」と皆が報告するのをいつも残念な思いで聞いて(読んで)いたのだ。
 おいしそうなおかずが山盛りに盛られた大皿が、カウンターにずらっと並んでいる。その様子はパラダイスそのもの。あああ、どれから食べよう?と幸せな悩みで頭がいっぱいになる。
 とりあえず、小アジの南蛮漬けを頂く。おいしい!
 みごとな里芋があったので「ください」と言うと「ほい」と手渡しされた。なにもつけずにむいて食べる。
 鯖寿司、ぬか漬け、手羽先ギョウザを食べる。手羽先ギョウザがものすごくおいしくて、つい「夫に持って帰りたい」と頼んでおみやげにしてもらった。
 私は酢でシメた魚が大好き。と言いながら鯖寿司を食べる。
 「おいしい?」と聞かれて「今堪能してるんだから話しかけないでよ」と言ったら食事中の猫にちょっかいをだして怒ったとこみたいだ、と笑われた。
 とっておきのブルーベリーゼリーが残りひとつなんだよ、とご主人が言ったとき思わずO木くんをみると「わかってます、どうぞ食べていいですよ」と言われた。
 やはり私の食い意地におそれをなしたらしい。
 「半分こしよう」と言ってふたりで食べた。
 おいしい、いや、楽しい休日だった。

10月30日(土) 触れ合うということ


 ちょっと勇気の要る告白ですが、

 私はスキンシップに弱い。

 愛でられる、とか
 撫でられる、なんていう言葉にもうっとりしてしまう。
 だから、そういうことをされてるときなんかはきっと

 ナゴナゴ。

 なんて喉を鳴らしてる猫みたいなんじゃないかと、自分でも思う訳。
 で、今私が夢中になってる椎名林檎ちゃんは、名曲「すべりだい」で

 汗ばんだって 恥じらったって 理由もなく 触れたがったりしてた

 凍えたって 甘えたって 只の刹那に変わった二人

 と歌ってるんですが、この 只の刹那に変わった二人 って「そうそうそうそう!」と激しく頷きたくなってしまう。これは、ふたりの間の無言のルール。たとえどんなにスローな愛し方でも、たとえばティーカップの中の角砂糖が溶けてくずれる瞬間のように「変化」するのが

 お互いにわかる 切り替わってこれからはじまるということが

 うーん、なんか意味深なこと書いちゃいました。
 今日のエスコートはワイルド・ターキーのハイボール。
 ちょっぴりバターの香りがするこのお酒は、私がまるで初夏のように輝いてた頃になじみのお店でいつも飲んでいたもの。
 条件反射でミックスナッツが欲しくなる。そして、あのお店のカウンターの手触りを思い出す。ツヤがない、乾いた木のカウンター。薄暗い店内。流れるロック。
 誰もが言うことですが、だんぜん8年の方がイケル。
 どうしてここ最近、あの頃のことばかり思い出すのかなあ....。

 きっと肌寒くなって人恋しくなってるんでしょう。

10月29日(金) Fever

 熱を出してしまった。
 うーんなぜだろ?まあ、体の月サイクル的なものかもしれない。
 仕事も休んで寝ていた。もちろんプールなんて論外。
 久しぶりに原田宗典さんの本を読んだ。「あはははは」と「優しくって少しばか」もう10年近く前に、すこし年上の男友達が「真理子さんはこれを読むといいよ」と勧めてくれたのが「優しくって....」だった。
 そのとき私にはすごく年上の恋人がいて、その価値観の違いなんかに悩んだり怒ったりしてかなりもがいていて、その彼にずいぶん助けてもらったのだ。
 「優しくって....」を今読み返すと、勧めてもらった理由がよくわかる。が、当時の私はあまりにも若くておばかちゃんで、一人称の「ぼく」のメンタルな部分を読み取って理解することができなかった。いや、それは読み取れたが、「ぼく」とその恋人との関係が意味するもの、については理解出来なかったのだ。ひどく悲観的な気持ちになったような記憶がある。Gさんはあたしに何を伝えたいんだろう?なあんて、ちょっぴりうらみがましく思ったりもした。気遣ってくれたのにひどい話だ。
 笑ってしまうのは、私は「優しくって....」を忘れていたのである。作者が原田宗典さんだということさえも。10年後、別の男友達が「原田宗典さんがスキなんだ」と言ったので読んでいるうちに、「優しくって....」に再会した。今読んでいるのは、新しく買ったものだが、納戸の本の山のどこかに10年前の「優しくって....」があるかもしれない。
 この人には何冊か本をプレゼントしてもらったっけ。
 一番感激したのは、25歳の誕生日に贈ってくれた「神様におねがい」これは大橋歩さんによる本で、もちろんイラストも大橋さんが描かれている。なんとも不思議なショートストーリーが数編収められている本だ。
 感激した理由は、その本の初版発行日が私の誕生日当日だったことだ。
 カバーがかなり黄ばんでしまったその本は、今ももちろん手元にある。
 たいせつな、たいせつな宝物だ。
 まあ、大橋歩さんのファンタジックな本だからプレゼントとして成立したようなものの、これが「足のツボすべて」とか「ゴジラ40年史」とかだったらかなりまぬけだろう。そんなおばかなことをするような人じゃなかったけど。
 「レストランにつれてって」(タイトルうろ覚え。これも納戸のどこか)という、すごくおしゃれなマナーの本とか、パパラギの本などももらった。
 歓楽街のうんと高級なバーや、隠れ家みたいな割烹とかにも連れていってもらったっけ。
 今ごろきっと、すごくダンディなおじさまになってるんだろうなあ。

 熱のせいだろうか。
 ずいぶん感傷的な日記になっちゃった。
 だけど、こういう思い出って、きっと私の大切な財産なんでしょう。

10月28日(木) Getting Better

 研究室のPB5300が、気のせいかもーれつに遅い。
 なんでだろう?ファイル共有もしてないのに。
 手書きの仕事の方が多いから、デスクトップだとダメなんだよなあ。場所とりすぎて。まあ、だましだまし使うしかないか。
 いいお天気。
 駐車場から人社棟に向かうとき、風で落ち葉が波のように足下に運ばれてきて、足をすくわれそうな気がしてちょっとどきっとした。ほんとにさらわれそうな、ほんとに波のようだったのだ。
 なんだか体調が良くなったような気がする。
 昨日までは、疲れてる訳じゃないのになあんか調子わる〜い。って感じだったのに、今日は、疲れてるけどそんなに気分は悪くないのだ。
 やっぱり体質がちょっと変化したのかな?
 だけど今日はプールには行けなかった。
 明日また行こう。

10月27日(水) 明日のためにその2

 午前中、大事な手紙を書く。書きながら少し泣いた。
 だって、BGMのユーミンが

 ♪もうそれ以上 それ以上 やさしくなんてしなくていいのよ

  いつでも 強がる姿 嘘になる♪

 なあんて歌うんですもの。
 男の子はいつの時代も誇り高い騎士のようだ。

 嵐のような雨の中、プールに行った。
 今日は水着とタオルと小銭しか持たずに行って(貴重品は車中)、ロッカーに鍵をかけなかった。
 車とかパソコンは、アクセラレータなんかを付ければいきなり機能アップしちゃうけど、人間の体は違うんだなあ、としみじみ思う。少しずつ少しずつ変わって行く。しつこくしつこく訓練して。
 明日からフラッグ用の靴をあちこち見て探そう。

10月26日(火) 明日のためにその1 

 やっとちらかり放題の部屋を片づけた。あ、でも和室がまだ魔窟となってる(涙)
 後見人のスーツもプレスしなきゃなあ。
 あ、これから私の夫を「後見人」と呼ぶことになりました。よろしくぅ。
 午前中、脳みそが溶けるんじゃないかと思うくらい眠くなる。
 しかし、しか〜し!今日は体力作りあーんど健康のためにプールに行くのだ。行くったら行くのだ!
 そう思って、いろいろ眠気ざましを考えた。
 コーヒーを飲む。(イマイチ)
 うっひゃ〜!っていうくらい酸っぱいレモンスカッシュを飲む。(一時的に効果有)
 アース・ウィンド&ファイヤをかける。(スペイシーで夜の気分になり逆効果)
 レッド・ツェッペリンをかける。(移民の歌以外はあまり効果なし)
 レニー・クラヴィッツをかける。(聴いてるうちにすっきりしてきた)
 うぅん、レニクラさすがですぅ。
 ほんとはアナーキー・イン・UKを聴きたかったけど、ウチにはなかったのだ。
 夕方、洞峰公園の屋内プールに行った。犬の散歩以外で行くのは初めて。
 30分かけて50メートルを4往復した。帰宅すべき時間になったし、プールも休憩時間になったので引き上げた。
 とりあえず今日は「行く」ことが目的だったのでいいのだ。
 まだ筋肉痛でそうがんがん泳げないし。
 しかし、ロッカーに100円かかるのがしゃくだなあ。
 最低限の貴重品を頭にくくりつけて、水府流で泳ごうかなあ?と言ったら、「大井川の渡しかい?」と後見人に笑われた。ほんとにやる訳ないじゃん。いくら私でも。

10月25日(月) やる気満々 

 うぅ、筋肉痛。参りました。
 転んで完全に一回転したときにごついベビーGが手首に当たったらしく、腫れているし擦りむいている。日灼けもしてるみたい。
 昨日のゲームのことを思い出す。
 ハドルのときはあんなに「よおし!やったる!」って自信があるのに、プレイになるとなあ、パニックになっちゃって、受け取ったボールを抱きしめてガーッと、ディフェンスが壁をなしてるところに突っ込んで行ってしまう。
 はっきり言ってアホである。
 その点、愛ちゃん(私と同じ高校のコ)は冷静だった。勢いはないけど、ちゃんと自分の仕事をしてチームのゲインをかせいでいる。
 私にあるのは迫力だけだ。
 スピード、フェイク、レシーブ、あーっっ、練習したい!!

10月24日(日) 10年遅れ

 5時半起床。まじですか?
 だらだらしてると迷惑をかけてしまうから、必死で覚醒して支度をした。
 見ると彼はロードレーサーのいでたち。まじですか?家からすでに朝練?ここから大井まで自転車で行くの?すごすぎる。
 じゃ行ってらっしゃい、と家の前で別れる。彼はヘルメットをかぶり、手を上げてシャーッと軽やかに行ってしまった。あっという間に見えなくなる。私は駅までコツコツと歩いた。
 新宿についたのはちょうど7時。お腹が空いたので朝マックをした。
 夫に駅まで迎えに来て、と電話する。まだ寝てました。そりゃそうか。
 電車でうとうとしたら、乗り過ごしてしまった。夫は携帯を持ってでなかったらしく、しかたがないので家に帰ったらしい。30分たってやっと電話がつながった。「日曜の朝っぱらから人をたたき起こしといてこれかい?」と言われた。ごめんなさい。たしかに私は時間にルーズです。
 ちょっと眠ってフラッグフットボールの練習試合に行く。
 万博公園。初めて行ったけどとてもいいところだった。広い芝生のフリーエリアにパイロンがわりのメガホン(野球の応援に使うやつ)を立て、フィールドを作る。犬を連れてる人、家族で昼寝をしてる人、などと一緒のエリアなのだ。のどかだなあ。
 今日のゲームの相手は、アサヒビール守谷工場の人たち。
 めっちゃくちゃ強い。というか、私たちが弱すぎ?
 大負けに負けたが、「もう少し相手して下さい」と土下座(しなかったけど)。
 しっかし、楽しい楽しい楽し〜〜〜い!!
 エクスカリバーズの試合を観るのも楽しいけど、やっぱ自分でやるのは最高。
 もっと頻繁に練習しようよと言ってるので「必ず声かけてね」と頼んだ。よその研究室のコたちだから、「じゃあやるか」って突発的に練習してたときに私は居合わせることができなかったのだ。
 終わった後、ファミレスで食事をした。
 看護専門学校の女の子がふたりいて、その片方のコは私と同じ高校だったのだ!そりゃあもう驚いた。先生の話をして盛り上がる。
 「オレ、今ヨーグルトに夢中!」とクォーターバックの彼が言ってるので、たまたま持ってたブルガリアヨーグルトのギフト券をあげたらとても喜んでくれた。たった100円ちょっとなのに(笑)
 なんと、ハンバーグドリアとハンバーグサンドウィッチを同時に食べてる人がいた。たくさん食べるのはわかるけど、どうしてふたつともハンバーグなの?とみんなにからかわれる。その彼は、大食いと全然食べない波があるそうだ。若いって不思議。
 どうしてこの人たちと同じぐらいの歳の時に出会ってなかったんだろう。
 そう思ったらとてもせつなくなった。

10月23日(土) 勇気をもらう

 先月一緒に熱海にダイビングに行ったあっきーと逢う。
 サンシャインの水族館を見に行く約束。
 が、時間の逆算を読み間違えたのと場所がよくわからなかったのダブルパンチで30分も遅れてしまった。
 すごく怒っていた。
 ぜんぜん口をきいてくれない。
 死にたくなるくらい悲しくなったが、とりあえず後をついていく。
 お好み焼きを食べたとき、ちょっと話す。
 ダイビングショップを覗いて、その後あっきーの家に行く。
 そしたら、徐々にいつもの彼に戻っていくではないか。聞いてみると「あんな目立つ格好して....」だって。そうか、そんなに派手でしたか....。申し訳ないことをした。
 シャワーを浴びて、ファンキーな服を脱ぎ(笑)楽な格好になっていろいろ話した。
 炊込みご飯を炊いてくれて、それを食べているとき私はビールを飲んでいたのだが、そのとき彼がこう言ったのだ。「きみは別れた彼女にほんとに似てる。そうやってご飯食べながらよく晩酌してたよ。時間にもルーズでデートのときはいつも遅れてきた。」私はものすごくショックを受け、思いっきり泣いてしまった。泣いた理由はもちろん自分でわかるけど、ここには書かない。
 女の子に泣かれたらもうお手上げだよな、って以前言ってたのを覚えてはいたけれど、申し訳なかったけれど、泣いちゃいました。ごめんなさい。一所懸命なだめてくれた。
 彼は翌日サークルの朝練があって、超早く家をでるそうなので早々に寝た。

10月21日(木) 浮上

 ちょっと魔法を使ってみた。
 そしたら、少し元気に起きられた。
 お弁当もてきぱき作った。デザートまで作ってしまった。
 靴もクリームをつけてぴかぴかに磨いた。
 洗濯物を干して、さわやかなキモチで犬の散歩に行った。
 なんていいお天気。研究室を吹き抜ける風も気持ちいい。


 心に影を落とす小さな雲。

 立ち止まると涙が出るから、って歌ったのは大好きなドリアンさん。

 大丈夫。今はつらいけど、いつか心から笑えるから。

 だから、歩いていける。

10月20日(水) 悩み

 なんか、本当に体調が悪くて悲しくなってしまった。
 ただでさえよく眠れないのに、夕べは寝苦しくて夜中に完全に目が冷めてしまって、しかたがないので隣で寝ていたネコを見ていた。
 昼間はぼーっとして使いものにならない。
 昨日も妹に「なんかすごく眠そうだけど、大丈夫?」と言われた。
 なんだか体のリズムが昼夜逆転しているような気がする。徹夜している訳でもないのに....。
 ああ、どうしたらいいんだろう?

10月19日(火) すてきな奥さん 

 栃木県佐野市の妹のところに遊びに行った。
 お昼にドライカレー、お茶の時間にお手製のかぼちゃプリンをごちそうになる。かぼちゃのぷりんはとても香ばしくて豊で優しい味。キャラメルソースもおいしい。
 相変わらず家の中は気持ち良くきちんとしていて、我が妹ながらさすがである。
 妹のご主人は結婚前、妹に家事全般に対してあまり期待していなかったらしい。なぜか。ところが結婚してみると、料理は上手、掃除もまめにやって家中キレイだし、ケーキ作りも得意ときたもんだから、「こんなにシアワセでいいんだろうか!?」と思ったそうだ。たしかになあ、あんな暮らしができるんならシアワセだろう。しかも妹は美人なんです。
 夕方までおしゃべりをして楽しく過ごした。
 帰り道、筑波のダイエーに寄って買い物をした。
 夕飯はチゲ鍋。ふと思いついてXO醤を入れてみたら、んまあ!おいし〜い!みなさんぜひおためしください。

10月18日(月) ギョウザ万歳!

 夜、よく眠れない。
 寝たんだか寝てないんだか、よくわからないうちに夜が明ける。
 その反動で、昼間眠くて仕方ない。困っちゃうくらいに。
 今日は、やりたいことがたくさんあったのに。
 朝のうちにギョウザの皮をこねて冷蔵庫に寝かし、ちらかり放題の部屋を片づけ、りんごのケーキなんかも焼いて、できればプールに泳ぎに行きたいな、と考えていたのに。計画だけはリッパである。
 ごろごろ、うとうと、だらだらとして、陽が傾きかける頃やっとスープを沸かし、ギョウザの皮をこね、行動を開始した。犬を散歩させ、銀行に行き、その後買い物。
 豚肉をたたき、ハクサイをたたき、にらをたたき、ショウガをたたき、にんにくをたたく。
 大陸のギョウザはにらもにんにくも入れないし、焼きギョウザはあまりポピュラーじゃないそうだが、私はやはり「かりっ、ばふっ、じゅわ〜」となる焼きギョウザが好きだ。
 寝かせた皮を麺棒で延ばす。
 20数枚つくってタネを包み始めたが、9個包んだところで皮がだれてしまった。
 6個はかろうじて包子のように包んだが、あとはもう完全に小麦粉の塊と化してしまった。うーん、水分が多すぎたか?
 ギョウザ型のものは焼いて、包子型のものはスープに入れた。
 辣油を溶いたお醤油をつけてかぶりつく。
 かりっ、ばふっ、じゅわ〜っ、ぴゅ〜っ!
 なんと、水芸のように肉汁がテーブルの上に飛び出した。
 以前、友人のTくんにごちそうしたとき「なんてジューシーなんだろう!」と言われたことを思い出した。
 コツは、ひき肉を自分で作ること。挽いてあるものを使わず、豚肉を買ってきて自分でたたいて使うと全然違う。
 あとは、皮をこねるときにスープを使うことかなあ。
 ちょっと手間はかかるかもしれないけど、難しいことなんてぜんぜんない。
 手作りギョウザ万歳!である。

10月17日(日) 怠惰な一日

 おととい、昨日と忙しかったせいか、半日も寝てしまった。
 あ、朝は、町内会の公園清掃があったのだが、半分眠った状態で参加し、帰宅して朝ご飯を食べたら猛烈に眠くなって、一度脱いだパジャマをまた着てぐうぐう寝てしまったのである。
 新しく買ったバスマットが色落ちし、足袋とかハンカチが青く染まってしまった。
 ちょっと悲しい。

10月16日(土) 梨園

 歌舞伎見物にキモノで行ってみよう、と思い今日の企画をした。
 「美しいきもの」なんかを読んでも、やはりそれはキモノ愛好者にとって特別なことであるらしい。
 親友Sには「いっちばんいいキモノで行かなきゃ!」と言われたが、私のいっちばんいいキモノはものすごくあでやかな訪問着なのだ。うーん、これは格が上すぎるんじゃないだろうか?派手すぎて目立っちゃうのはあまりにもださいと思い、江戸小紋にした。地味すぎてじろじろ見られる方がまだまし、ではないだろうか。
 今日のエスコートは夫。男友達はみんな都合が悪くて。有楽町で地下鉄に乗り換え、生涯無縁だと思っていた永田町で降りる。
 今日の演目は「音菊天竺徳兵衛」、主役は尾上菊五郎。数分遅れてしまったので急いで席に着く。歌舞伎は高校のときに一度、数年前に社員旅行で歌舞伎座に行って以来である。
 休憩時間になってロビーでサンドウィッチを食べる。ここでやっと観客のみなさんウォッチングができた。やはり、普通のイベントよりはキモノ姿の人は多い。よかった、みーんな小紋だ。
 年配の方の着こなしは「さすが!」という感じ。着付けも趣味もお見事。
 若年層はというと。
 私の知識が間違ってなければ、うーん?ってところ。
 「お!変わり結び?」と思ったお太鼓がただ単に枕の上げ方がへたくそでしわだらけだっただけとか、衣紋の抜き方が足りなくてワイシャツみたいな衿になってたり、これもまた衿なんだけどものすごく詰めて合わせてあってでもどこかで見たライン....と思ったら「あ!チャイナドレスのマオカラーみたい!」だったり。帯揚げの結び目が完全に帯から出てる人(ちらっと見えるぐらいが粋)、一番傑作だったのは、ものすごく裾を短く着てた人。ロビーの椅子に座ったらすねまで丸見え。もしかしたらサイズが小さいキモノを仕方なく着たのかもしれないけど、この彼女は出っ歯だったのだ。つんつるてんのキモノを着た出っ歯の人....そう「天才バカボン」である。
 若い人の中で「むむ、デキル!」と思えたのは、数人だった。
 なーんて、意地悪なことばっかり言ってる私だって、昔はなんにも知らなかったのだ。知らなくてへたくそな着付けでもうきうきと外出をしていた。おんなじなのだ。みなさんごめんなさい。たくさん経験して、粋なおばさまになろうね。
 歌舞伎もとても楽しめた。もちろんイヤホンガイドを利用した。
 しかし、立役者(っていうの?)のオーラは凄い。
 序幕の最後で菊五郎が大見得を切ったとき、私は背筋がぞくぞくぞくぅっっっ!となりましたね。歌舞伎通でもなんでもない、通りすがりの超初心者をこんなにしびれさせるなんて、これがスターってもんなのねって思いました。
 奥方、腰元、姫君の衣装もそりゃあもうすってき〜〜!だった。ビューティフル!!丸帯を矢の字に結んだ格調高い着こなしは、いつかやってみたい私のあこがれ。黒い五つ紋の大振り袖とかでやってみたいねえ。
 最後に緋色の3段の階段が登場し、菊五郎がそこに登って刀をかざして大見得を切った。
 ここでもぞくぞくぞくぅ〜〜っっのびりびりびりぃ〜〜っっである。
 あ、あと驚いたのは掛け声。声を掛けるところが決まってるとは知ってたけど、「音羽屋!」と叫ぶのがユニゾンなのだ。もう、コンマ1秒の乱れもなく。完全な様式美だ。
 もうわかりきった(通の人には)ストーリーを大昔から演し続け、観る側にもルールがある。これは、お芝居を観るということではなく、梨園そのものを感じる世界なのだろう。
 さて劇場を出ると午後4時を過ぎていた。4時間の長丁場でちょっと疲れたけれど、とても楽しかった。
 昨日A子さんと一緒に入った「銀座麦酒楼」がとてもよかったのでまたそこに行った。ビールを一杯ずつ飲んで、小龍包、水餃子、焼きビーフンを食べた。
 その後、有楽町マリオンに行ってみると西部百貨店でiBookが展示されていた。グラファイトカラーのiMacもあった。嬉しかった。

10月15日(金) 新宿赤マント10周年

 椎名さんの講演会に行った。
 帝国ホテルの会議場。ゲストに、木村晋介さん、沢野ひとしさん、目黒孝二さんがいらした。
 特筆すべきこと。
 目黒さんてすっげえカッコイイ。
 今まで何度かお目にかかってはいたけれど、椎名さんのオーラが凄すぎて、目黒さんのすばらしさに気づいていなかった。
 気づいてよかった。今まで私はなにを見てたんでしょう、ほんとに。
 終了後、MLのお友達A子さんと銀座麦酒楼という中華のお店で飲んだ。
 私は小龍包が大好物。ギョウザもしゅうまいも大好き。つまり、ひき肉とねぎ系のものを小麦粉を練った皮で包んだものが好きなんですね。
 お代わりした小龍包のせいろから湯気が上がっているのを見て、私は冷めた水ギョウザをすき間に入れた。少しは温まるかなあ、と思ったのだ。
 そしたらお店の人が「空いたお皿お下げしま〜す」と、水ギョウザのお皿とともにタレを下げてしまったのである。
 「あっ、ここでひそかにギョウザをあっためてたのに....。」と思わず言ってしまったら、A子さんに思いきり笑われた。店員さんも謝りながらも笑っていた。けっこう恥ずかしかった。
 おいしかったなあ。また行きたい。
 さて、明日は歌舞伎見物。永田町の国立劇場。
 キモノを準備していて、「あ!」と気がつく。どの長じゅばんにも半襟がついてない....。がっくり。夜中の3時半、ひとりさみしくお裁縫をした。

10月14日(木) まだまだ

 ちょっと、いやかなり落ち込むことがあった。
 まいっちゃったなあ、まったく....と思う。けっこう冷静に受け止めて、自分でキモチの整理をしようとするあたり、少しは成長したかも、と考える。一方、感受性が鈍くなったか?とも考える。
 若くて感情がフル回転してたころは、さわれないくらい熱かったと思う。そんな私が傷ついたりするとそりゃモウタ〜イヘン!である。自殺しそうな勢いで落ち込んだ。
 まあ今回もかなりこたえたけれど。
 いちばん効いたクスリは、年若い(9歳下)ボーイフレンド(日本語でいうところの)との長電話。朝の4時まで。こうやってみなさんに甘やかされてこんなにワガママになってしまいました。
 やっぱり私はまだまだである。

10月13日(水) しあわせはこんなところにある

 夕方、犬達を散歩させているとき、突然私は悟ってしまった。
 今日もやるべきことがあまり片づかなくて、早く帰ってあれとあれとあれをやらなきゃ、とイライラしながら歩いていたのだ。
 ふと、傍らのかんちゃんを見やって「ああ、かわいいな。」と思ったとたん、稲妻のように閃いたのだ。
 「散歩を楽しもう。散歩しなきゃ、って義務に思ってやってるからこんなにイライラするんだ。散歩する30分間、精一杯犬を可愛がって犬と遊ぶ時間を堪能しよう。」
 最近の私は、なんかとても焦っていたような気がする。
 毎日毎日、ああ、今日もあれができなかった!と悔いていた。
 そんな時間はとてもマイナスではないか。
 のんびり行こう。自分のコントロール次第で、キモチなんて幸福にも不幸にもなるんだ。

 Feel happy.

 忘れてたよ。

10月12日(火) 時は流れる

 ここ数年に撮ったいろんな写真を見返した。
 圧倒的に多いのが、椎名さんのイベント関係。講演会、サイン会、やまがた林間学校....。今でも椎名さんはとても若く見えるけれども、3〜4年前はもっともっと若くて元気そうで驚いた。名前と顔を覚えてもらって4年ぐらい、お逢いする機会がある度に写真を撮っていた(さすがに最近は『もう十分』と思って撮っていない)。その間そんなに容貌に変化が出てないと思っていたから。
 写真を見ると、当たり前だけれども当時の思い出がうわっと湧いてくる。
 それで気がついたことがある。
 最近の椎名さんはとても疲れているように見える。
 それらの写真を撮った頃だって今と同じように忙しい人だったけれども、いきいきしてて元気で、生きることを、人生を愛しているように見えた。(今はそうじゃない、と聞いた訳ではないけれど、なぜか厭世感を感じる。)
 だから私は、椎名さんはすでに完成された生活を送っていると誤解した。
 小説を書いて、エッセイを書いて、映画をつくって、講演をして、キャンプをして、旅行をして、大勢の人に愛されて、望むものは何でも手に入る、なに不自由しない生活を続けるだけの人生を勝ち取った人だと、そう思っていた。
 でも、椎名さんも変化していたのだ。
 私が、自分の弱さに苦しんだり、悲しくて泣いたり、逆に嬉しい出来事に喜んだりしてこの4年間過ごしてきたように。
 完成していなかったのだ。変わりゆく日々が続く人生の4年間、のうちのほんの少しの椎名さんの時間を、私はこの目で見ていたということだ。
 変わったっていい。
 しばらく逢えなくたっていい。
 どうか椎名さんがしあわせなキモチでいられますように。

10月11日(月) 原っぱよ永遠に

 三角ベースボールの練習試合の招集がかかり、幕張まで出かけた。
 栄えある「有楽町ゴジカラ団」のメンバーとしては、前回の栃木大会を欠席した不義理をここで返さなければならない。
 ところが、集合場所の「幕張駅」を「海浜幕張駅」と間違えて行ってしまった。幕張といえばメッセ、海浜幕張しか思い浮かばなかった私はマックワールドエキスポに毒されている。未来都市のような駅前で携帯片手にとほほほ、と思った。
 気を取り直して幕張まで行った。1時間ぐらいかかった。
 住宅街の中にある、芝生のこじんまりとしたグラウンドが今日の会場だ。
 夏に逆戻りしたようなお天気。だけど、ほのかに薫る金木犀が秋だと主張している。
 まず最初に、「椎名誠さんの小学校時代の同級生チーム」と対戦。チーム名は?と聞かれて「ウチは、幕張"AM"ゴジカラ団。いや〜、トシだからさ、朝が早くて」と笑っていた。センスいいじゃん。
 私の守備はキャッチャー。最初はあやちゃんが出て、途中から代わった。
 たいしてうまくもないのだが、ルールに盗塁がないのでなんとかやっている。
 バッティングもイマイチ。ピッチャーゴロ、ピッチャーライナー、ファーストライナーばっかり。凡フライでもいいから、遠くに打ってみたい。
 そうそう、
ユニフォームができたのだ。
 私の背番号は49。サンフランシスコのフットボールのチームからとった。ゴールドラッシュ、一獲千金を夢見た人たちは私のソウルの原点かもしれない。
 暗くなってボールが見えなくなるまで、練習をした。
 ずっと金木犀が薫っていた。
 

10月10日(日) 雙峰祭

 筑波大学の学園祭に行った。
 とは行っても、夕方に上映された「アルマゲドン」を鑑賞しただけなんだけど。
 なんたってタダよ、タダ。
 初めて見たけれど、とても面白かった。泣くところではきっちり泣いた。
 泣きながら心の中で(ここで『うえーんうえーん』って大声で泣いたらみんな驚くだろうなあ・・・うっ、いかん。やってしまいそう。やったらいかん、いか〜ん!)と考えて困った。実際やらずにこらえられた。
 リブ・タイラー、キレイだったなあ。
 「スティーブン・タイラーに似てるのに美人っていうのが笑えるよ」と夫が言った。
 模擬店や野外ステージなど、思ったより盛大だった。
 あんなに人口密度が高いペデストリアン・デッキを見たのは初めてだ。
 イヤというほど広いキャンパスだからなあ。
 通常はまんべんなくばらついて存在しているということなんだろう。
 来年は、もっとゆっくり見に行こうかな。

10月9日(土) 結婚記念日

 6周年の結婚記念日。
 はてしなく貧乏な私たち夫婦は、すてきなレストランに行くでもなく、旅行をするでもなく、犬を連れてドライブに行った。御前山村の那珂川の河原。
 のんちゃんもかんちゃんもおっそろしく落ち着きのない駄犬なので、他の犬連れの方々のように解き放つことができない。車のミラーにつなぎ、すぐそばにマットを引いてサンドウィッチを食べた。
 釣りをしている人の迷惑にならないような場所に犬を引いていき、水切りをする。
 夫が「もっと遠くに投げるんだよ」とえらそうに言って、石を投げた。
 ぼっちゃん。ただ一つの波紋が広がって行った。
 「ぜんぜんだめじゃん」
 「あれ〜、だめだなあ」
 何度やっても、ぼっちゃん、である。
 「へたかすだね」
 「へたかすだよ」
 犬を車に乗せ、河原を後にする。
 水戸のペニー・レーンという楽器屋に行く。
 マーチンD28というギターを購入。夫がね。
 私はギターのことはよくわからないけれど、はっとするくらいキレイな音。
 6月に買ったハミングバードもいい音だと思ったけれど、なんていうか、タイプがぜんぜん違う。たとえば、マーチンはハンサムな正統派2枚目俳優で、ハミングバードはワイルドでちょっとあらけずりなイイ感じのいい男。具体例を考えてみたけれど、むずかしい。マーチンがロバート・レッドフォードで、ハミングバードがクリント・イーストウッド?ううん、違うなあ・・・。うまいたとえが見つからない。
 とにかく、どっちがいいかなんて選べない。
 目を瞑っていても、聴きわけることができる。それぐらい違うんだもの。
 夕飯は、久しぶりにステーキを焼いた。
 氷水でぱりっとさせた野菜でサラダを、ていねいに面取りしたにんじんでグラッセをつくる。特別に高価な材料を使わなくても、きちんと手順を踏めばちゃんとおいしくできあがる。ドレッシングももちろん自分で作る。私は、だしの素もできあいのドレッシングも家に置いていないのだ。
 肉は1枚千円ぐらいのフィレ肉を使うけれど、レストランで同程度のものを食べたらもっとお勘定がかかるだろう。家で食べれば安くておいしいのに!と発奮した私は、ミディアム・レアに焼けるように、昔練習したのだ。
 今日は焼き過ぎたかな?と思ったが、大丈夫だった。
 バレンタインのときに買って隠しておいたヴーヴ・クリコで乾杯をする。(実は隠し場所を忘れてしまい、今朝探して冷やしておいた)
 私は料理が好きなんだなあ、としみじみ思う。
 クリスタルとステンレス、白いお皿なんかをながめてるとうっとりしちゃうもの。
 吉本ばななの「キッチン」の主人公桜井みかげは私がモデルです。なんちゃって。

10月8日(金) あーショック

 1週間ぶりに出勤したら、書きかけの書類がなくなっていた。
 デジカムのケーブルやデジカメのメモリーカードなどの型番を書いた「物品請求書」。ちょっと〜、誰が持ってったのよ〜?一番心当たりがあるのは、リサーチ・アシスタントのK田さん。電話で聞くと「ぼく、ずっと具合悪くて学校行ってないし。げほげほ。書類を家にまで持って帰って仕事しようなんて奇特なキモチはありません。ごほごほ」とのことだった。
 他にも片っ端から聞いた。先生にも。「知りません」
 あー、どうしよう?型番はまた調べればいいけど、何を買うのかわからないじゃないよ!品物をリストアップしたメモもない・・・。
 あーショック。(10/7放送の食わず嫌いの石橋風)
 もう少し探して(家も)、それでも見つからなかったら思い出せる範囲でまたリストアップして書こう・・・。
 授業の後、学会の打ち上げということで、先生がみんなにうどんすきをごちそうしてくれた。
 ファミレスに移動してお茶を飲む。
 私はひと足さきにおいとました。
 帰宅してちらかり放題の2階リビングでため息をつく。「あーショック」を繰り返す。こんな、男子学生の下宿のごとくちらかった部屋で探し物なんて、あれをまた書き直すなんて・・・とほほほ。
 風呂上がり、なにげなくダイニングのカウンターに乗っているがらくたをのけると、なんと、きちんとクリアホルダーにはさんだくだんの書類が現れたのである。
 一転して世界はバラ色になった。
 なんか思うところあって持って帰ったのですね、先週の金曜日。
 そんなあやふやな記憶の元で仕事をしてるのかい?と夫に言われて、あーショック!

10月7日(木) スイッチ・オフ

 朝は時間戦争だ。どこの家もそうだろうけど。
 夫が朝ご飯を食べている間に、夫と自分のお弁当を作り、食べ終わった夫が着替えている間に靴を磨く。まだブラシを持ってしゃかしゃかやっているところに、彼がかばんを持って階段を駆け降りて来る。並べた靴を履いて彼が玄関を飛びだす。
 送りだしたとたん、私のスイッチが切れた。
 洗い物もそのまま、止まった洗濯機もそのまま、先生に「具合が悪いので今日はお休みさせてください」と電話してベッドに倒れ込んだ。
 そのまま、お昼も食べずに夕方までこんこんと眠り続ける。
 やっと起きて、暗い中ぼーっとしながら洗濯物を干した。とてもむなしかった。

10月6日(水) Life is for living and fun.

 ウ・リーグ加盟チーム「電脳ドコデモ団」のO田さんとお茶を飲んだ。
 先日の栃木大会の様子を聞かせてもらう。椎名さんが電脳チームに臨時で入って試合をしたというのに、最初は喜んでいたもののゲームに夢中になってしまい、感激が持続しなかった、と言っていた。
 このO田さんという人も、めいっぱい人生を楽しんでいるようにみえる。だもんで、話をしていると面白くてしかたがない。
 「高校を卒業してから、ず〜〜っとぶらぶらと生きてきたの?」
 「ウウン。専門学校行って、一年だけお勤めしたの」
 「うそ。信じられない」
 「えー、それどういう意味?(笑)」
 いい友人ができて、私はうれしい。

10月5日(火) 若くておばかさんで元気だった頃

 イッキに秋が深まったみたいだ。
 栃木県佐野市に住む妹のところに遊びに行く予定だったが、体調が非常に悪かったのでキャンセルして寝ていた。
 弱くなったなあ、とぼんやり考える。
 キモチの問題なのか、本当に肉体的に老いたのか、わからない。
 高熱の体をおして仕事をした最後の記憶。
 それはもう9年も前の話だ。
 銀行の事務センター、システム開発課にいた私は、営業店に発送するFDのマスタを作っていた。テストして、確認して、確定して、システム運用課に60数枚のコピーを依頼するというところで熱を出した。
 ふらふらしながら出勤して、これでOKとマスタを確定した。たしか、お昼になるかならないか、ぐらいの時間帯だった記憶がある。ものすごく具合は悪くなっていた。早退したかったが、私は退勤時刻まで会社にいた。
 なぜ早退しなかったか。
 その日の帰りに、バレンタインデーのプレゼントを買わなければならなかったからだ。早退して買い物をするという行為が、当時の私にはとても後ろめたかったのだ。
 デパートで買い物をしているうちに熱はぐんぐん上がったらしく、意識は朦朧とし、鼓膜がぶるぶるとふるえだした。あんな状態で、よく車が運転できたものだ。
 夜、悪寒に苦しむ私の様子を見た今の夫は、「こんなに無理して・・・」と言葉を詰まらせた。
 あんなに自分を犠牲にしていた時代もあったなあ、と今では思うばかりだ。
 なんてバカだったんだろう、とも思う。
 ただ、現在、ほんとうにがんばりたい時にあの頃の情熱と体力があったらなあ、と考えることがある。
 「ああ、できない・・・」「無理だ・・・」とあきらめるとき、体がNOと言ってるのか、精神がNOと言ってるのか、私は自分でもわからないのだ。
 もし、NOと言ってるのが精神だったら、それはとても悲しいことだ。

10月4日(月) J

 用事があって駅前に行った。
 土浦駅ビル・ウィングをぶらぶらする。
 以前洋服やだった場所に、やたらエスニックな雑貨屋が出来ていた。足を踏み入れるのにちょっとためらうくらい、アヤシイ。
 アクセサリー、お香、布製品、楽器などが置いてあった。
 そこで私はものすごく心惹かれるものを発見した。
 紙でできたランプシェードなのだが、描かれている絵柄が、○リファナの葉っぱだったのだ。
 ・・・うーん、いいではないか!欲しいぞ!
 だけど、ランプシェードじゃなあ・・・使わないし。
 もしかしたら、アクセサリー類のなかにソレをモチーフにしたものがあるかも?と思ってくまなく探したが、なかった。ペンダントも、ピアスも、ボタンも。
 やっぱり路上で外国人が黒い布を敷いて売ってる、ああいうところじゃないとないかなあ?
 おーし、これから探そう。○リファナの葉っぱのアクセサリー。

10月3日(日) キャンセル

 図書館に行って「オール読物」を読んだ。
 椎名誠さんが、「ウ・リーグ開幕」というエッセイを書かれていると聞いたからだ。
 本来なら、一昨日の金曜日から行われている「ウ・リーグ栃木大会」に、美人チームとして名高い(?)「有楽町ゴジカラ団」の一員として私も参加しているはずだったのだ。訳あって今回はキャンセルした。ものすごく後ろ髪が引かれたけれども。
 書かれている内容が、かなり事実に近くて驚いた。
 栃木やまかぜ隊の方から、「楽しかったよ」というメールをもらった。次回の宮古大会、都合がつけば一緒にやりましょう、と返事を書いた。
 宮古かあ、遠いなあ・・・。

10月2日(土) 忘れないで ときめくホリデーを

 筑波大学エクスカリバーズの試合を、駒沢公園まで見に行った。
 フラッグフットボールを自分でプレーしてから、本物のアメフトに夢中になってしまった。システマティックで合理的でドラマティックなゲーム。私の感覚にものすごく合ってる。
 アメリカに生まれた男が一度はなってみたいもの。それは、大統領、ニューヨーク市長、そして、スーパーボウルのヘッドコーチだそうだ。
 対戦相手は、城西大学ベアーズ。
 
23-0で圧勝。
 1時過ぎに試合が終わってしまったので、どこかへ行ってみようかと考える。天気はとてもいいし、友人に逢うにも彼女は夜7時まで仕事なのだ。
 どこか遠く、どこでも好きなところへ行ける。なんて自由でわくわくするんだろう。
 湘南まで行って江ノ電に乗って海を見に行くことにした。
 JRで藤沢まで行き、江ノ電の鎌倉までの切符を買った。途中、鎌倉高校前で降り、ホームのベンチに座って海をながめる。右を見れば江の島。
 海の真っ正面にある駅のホーム。まるで劇場だ。上映は波のドラマ。
 サーファーが蟻のように見える。蝶の羽みたいに見えるのはウィンドサーフィン。
 駒沢公園の木陰ではとてもさわやかだった風が、とても強くなっている。
 電車を2本見送り、3回目に滑り込んできた電車に乗る。となりにはハマグリが入った袋を持ったサラリーマン風の男性が座っていた。
 鎌倉でJRに乗り換え、東京駅まで戻る。
 日本橋の高島屋でちょっと買い物をし、大久保で親友Sと飲んだ。
 いろいろな発見があって、とてもいい日だった。
 今日は、「ホリデーパス」という切符を買ってJRに乗ったのだが、記述の行程を普通に切符を買ったとすると全部で¥4,920かかる。が、「ホリデーパス」を利用するとたったの¥2,650である。いつもは東京〜土浦の往復と山手線乗り放題ぐらいにしか利用していなかったのだが、やっと本領発揮というか、今日ははっきり言って使いまくりだね。
 またホリデーパスを使って遠くに行きたい。 

10月1日(金) ミスいい加減

 T口さんと一緒におそい昼食を学食で食べた。
 ケーブルテレビで「バベットの晩餐会」という映画を観たの、とあらすじを教えてくれた。吉本ばななのエッセイにもこの映画の話は出ており、私はとても観たいと思っていたのでわくわくしながら話を聞いた。「いいなあ、観たいなあ」と言ったら、ビデオに録画したので貸してあげるよ、と言ってくれた。
 その後図書館に行って、先生に仰せつかった本を2冊ほど借りる。
 T口さんのおかげであっという間に見つかった。私一人だと、うろうろ探す時間がうんとこさかかるのだ。うっひゃ〜〜と叫びたくなるような大きな大きな図書館なので。
 研究室に戻り、国際会議の事後処理に精を出す。
 できあがった写真をポケットアルバムに入れたのだが、T口さんが作業したものを見て私はため息をついた。雑だ。あまりにも。
 「T口さ〜ん、もっと奥まで入れないとだめだよ」
 「えー、なんで?入ってればいいじゃん?」
 「出てきそうになって見ずらいよ」
 「えへへっ、あたしも『ミスいい加減』だからね〜」
 まったくもう。だけど、そんなおおらかなところがT口さんのいいところかもしれない。私はそんな彼女がとても好きだし。


 
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