Subscribe to A PIECE OF PEACE Subscribe to A PIECE OF PEACE's comments

今からだいぶ昔のお話です。
私は、銀行のコンピュータセンターで、新オンラインシステムへの移行の仕事をしていました。
役割は、研修インストラクタ。
日立製作所のパッケージシステムを毎日検証し、端末操作研修に使うマニュアルをつくっていました。
ある日、営業管理資料に、現状にそぐわないポイントを発見しました。
それは、毎日打ち出されるローンの延滞者リストで、返済期日に引き落としができなかった顧客が、翌日からは掲載されないという仕様でした。旧システムでは、返済されるまで毎日載り続ける仕様で、外回りの営業マンや融資係の人たちは、そのリストをたよりに、延滞者に督促したり、集金に行ったりしていたのです。返済期日にしか載らなければ、翌日からは、端末を叩いて返済されたかどうか、自分で調べなければなりません。激務の営業マンにそんなことさせられないではないですか。
なので私は、当然の気持ちで「ここは修正した方がいいのでは?」と、上司に言ったのです。

すると驚いたことに、彼はこう言ったのです。

「いや、直さないよ」

えええ!?
私はまじでびっくりし、新しい仕様がどんなに営業マンにとって不便なものであるか熱弁をふるいました。
しかし、上司は私のボルテージが上がれば上がるほど、意地になって首を横に振るのでした。

たぶん彼は、自分が気づくよりも早く私が見つけたことにカチンときたのでしょう。

そんなくだらないメンツを保つために、身を粉にして働いている営業マンに迷惑をかけるなんて!
バッカじゃないの?
私はくやしいやら情けないやら、もう、たまらない思いでした。
議論は夜の10時半まで続きました。

「わかりました。」

私は引き下がりました。
そして、お先に失礼します。と挨拶をし、更衣室に飛び込み、わんわん泣きました。
がんばって仕事をしている営業部時代の先輩や、同期の男の子たちに申し訳なくて、涙がとまりませんでした。

しかし。
私はくじけませんでした。

新システムの端末操作研修が始まると、集まった融資担当者を前にして私は「今度からこうなりますから、返済日翌日からは、ご自分で調べて延滞管理をしてください」と毎回説明しました。
もちろん、ブーイングの嵐です。
「改善希望点がありましたら、アンケートにご記入ください」
そう言って、すましていました。

そして、アンケートで続々と寄せられた改善希望点により、この仕様は修正することになりました。

上司は苦笑し、「しつこい人だねえ」と、ひとこと言いました。

私も青かったな。