夫の実家は、大きくて敷地も広い。
その敷地の道路に面している角が、ぽこん、と凹んでいて観音様が祀られている。面積は1メートル四方くらい。
ふと気になったので「あの土地は実家のものなの?」と聞いてみた。
そしたら、夫もよくわからないようだった。
「誰かに貸してるのかもしれない」
と言うので「誰に?神様に?」と聞いたら「ふふ」と笑って答えなかった。
で、先日実家でお茶を飲みながらそのことをお義母さんに聞いてみた。
「あのお地蔵さんが立ってる土地はどこのものなんですか?」と。
そしたら「新地(あらじ)の土地なのよ」ということだった。
それは、実家の近所の大地主のおうちのことでした。
飛び地って言うんでしょうか。
大昔は実家の土地全部がそのおうちのものだったかもしれないね。とお義母さんは言いました。
そして、「あれはお地蔵さんじゃないよ。観音様」と私のカンチガイを指摘されました。失礼しました。
大昔から住んでる家ばかりで、屋号まである。
ちなみにうちは「高麗屋」
というのはウソで「タナ」
昔はよろず屋を営んでいたらしい。
「新地」も屋号だそうです。
今日、犬と散歩しながら「新地」のおうちをじっくり観察したら、かなり大きなおうちというのがわかりました。
門は、屋根がついてて人が住めそうな立派な門。
その門まで50メートルはありそう。
林檎の木が植えてあって、それだけは以前から印象に残っていた。
だんだんと色づく実をながめては「まだあげぞめしまえがみの」という島崎藤村の句を思い出していた。
こんなに広くちゃ固定資産税が大変だろうな。
と庶民はみみっちいことを考えながら、えんえんと続く塀に添って歩いたのでした。